背中を押した男

「カズさんの歩く道はここにあるんじゃないですか」

1990年ニューヨーク、HB studioで体験をし終わった時に、見学をしていたテルから言われた言葉。

そのあと、グリニッジ・ビレッジで落花生の皮を床に投げつけながらビールを飲み熱く語った。


彼がニューヨークで引越ししたアパートに遊びに行った時のことである。

「今から映画見ようと思ってるんですけど一緒に観ます?」

近所のブロックバスターから借りてきていたのは『The dog day afternoon』

シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ主演の邦題『狼たちの午後』である。

強烈だった。

当時、家でビデオを観るなら飲み物とタバコが付き物だったが、終わるまで口にしなかったぐらい、魅了された。

そして俳優への道を歩くべく勉強をと思い見つけたのがHB studioだった。


彼に映画をいっぱい教わった。

昨日に至るまでずーっと。

彼は映画サイトを開設して優れた映画人にインタビューをしている。
http://www.outsideintokyo.jp

また、11月15日に発売された雑誌BRUTUSのブックインブックでも「映画と原作」についての記事を書いている。


大きな夢から小さな楽しみまで語って過ごした時間は6時間にも及び、そしてまた背中を押してくれた。



僕らがアメリカで出会った友人の中に早逝したナオミとアキコがいる。

こうして会えていることに感謝と使命を感じる。

BOBI

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