堺屋太一氏死去

2019.02.11 Monday 20:05
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    JUGEMテーマ:読書

     

    アメリカ3年の生活の最後に働いた出版業界の時に堺屋氏と会ったのが最初で最後。

     

    『鬼と人と』という信長と光秀、二人の独白が交互に語られる形式の小説が1989年12月に刊行され、1991年にニューヨークでお会いし、サインも書いていただいた。

     

    引越しの繰り返す中で無くなってしまい今手元にない、すいません。

     

    あれから30年経とうとしている、一昨々日、83歳でこの世を去った。

     

     

    上述の小説になるが、信長の考えと光秀の思いが徐々にずれていくのが興味深く、どんどんページを捲っていった。

     

    殿と家来という主従関係だが、親と子ということも従わなければならない環境である。

     

    最近におきた心愛ちゃんの事件は本当に悲しく、憤る、やるせない出来事であり、死という結果なため世に出ることになったが、虐待を受けている子供はもの凄い数になるのであろう。

     

    勇気を出してSOSを出したのに報われなかった、最悪の結末。

     

    児童相談所の建設で文句を言っている自分たちのことだけ考える港区青山の大人達に今回の事件は影響を与えているのだろうか。

     

    教育していく立場の大人が一番教育が必要。

     

    そんな世の中で、優れた大人、堺屋太一氏の死去。

     

    ご冥福をお祈りいたします。

     

    BOBI

     

     

     

     

    category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

    『貧の意地』

    2018.10.28 Sunday 20:50
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      西鶴の作品の中から太宰治が好きな小品を彼なりの空想を交えて作り上げた作品達が収められた『新釈諸国噺』の一編。

      極貧の浪人が、大みそか、借金から逃れるために気が狂った真似などするのに耐えかね、妻が自身の兄に助力を求めたところ、小判十枚を「貧病の妙薬、金用丸、よろずによし」と書いたかみに包んで手渡された。

      その金を、幸せすぎてかえって災いを受けると、近所の友人達を集め酒を飲むのに使おうと始めた、小判が一枚無くなり、誰が犯人か…となる。

      ここで皆が自分の矜持を見せるがための行動を取り、どんなに落ちぶれていても武士は武士、というお話。

      金のために生きているのではない、どんなに外見がみすぼらしくても、心は澄み輝いている。

      現代は服だけでなく持ち物や色々なもので飾り付けることに夢中な人が沢山いる。

      自分もそういう時代があった。

      昨夜からハロウィンで仮装をする人達をよく見かけるが、昔の人達もしたかったのだろうか。

      BOBI
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      『キャバレー』

      2018.09.30 Sunday 21:50
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        憧れの人と初めて会うというのは、想像も出来ないほどの緊張に包まれる。

        天才、ビートたけし。

        テレビ東京『たけしの誰でもピカソ』に出演した時に横に並んだ。

        大緊張の自分に向かって「銀座のホストクラブのオーナーみたいだな」と俺の第一印象を言っていただいた。

        この時の映像を自分で観ても、自分じゃないくらいに強張った表情だった。

        そんな大師匠の新たな分野である小説、『アナログ』に続き(まだ読んでいない)、こちらは「オール讀物」9月号に掲載された200枚の読切小説。

        タイトルのとおりキャバレーが舞台なんだが、綾小路きみまろが主となって繰り広げられる、芸人とヤクザやシンガーといった人間模様の話で、ツービートも出てくる。

        売れる、ということが明確な目標であり、それしかないと思って日々悩みながら試行錯誤の繰り返し。

        途中で挫折し辞める人、続ける人。

        その目標を達成した時に何を思うのか。


        自分はまだ到達していない頂上はかなり高くに見えるが、登っている今の足元は焦ることなく地を掴んでいる。


        今、東京に竜巻注意報が出ていて、窓の外に風の音が鳴っている。

        自分の竜巻をいつか起こしてやる。

        BOBI
        category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

        第159回直木賞『ファーストラヴ』

        2018.09.21 Friday 19:45
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          これは読みたいと思って、『オール讀物』を購入した。

          アナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺した事件を、女性臨床心理士が本人の半生を出版する企画をもらい、本人に関わっていく物語。

          作者の島本理生さんは17歳で文壇デビューし、18年、これまでに芥川賞候補4回、そして今回、直木賞候補2回目での受賞という素晴らしい才能の持ち主。

          主人公が女性だけど、展開に引っ張られページをめくって行ったら、あら、終わった。

          「以降のあらすじ」と続き、最初の部分だけでした。

          タイトルの部分に
          ファーストラヴ(抄)
          ってあった。

          (抄)って、書物などの一部分を抜き出して書くこと。抜き書き。だそうだ。
          こういうことも知らなかった未熟者です。

          しかし、三段で50ページはあったので、おっと、ここまで知ってしまったのに…という気持ち。

          今度、本屋に寄ったら手に取ってみよう。


          しかし、今月は雨が多い。

          雨粒が当たるガラス窓のそばで、コーヒーを飲みながら本を読むのは悪くない。

          BOBI
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          『清貧譚』

          2018.09.16 Sunday 20:57
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            1776年、中国、清代の怪異小説集「聊斎志異」の中の一篇に太宰治が空想を交えて創作した短編小説。

            菊の花が大好きな男が江戸から伊豆の沼津へ佳い苗を取りに行き、帰り道に菊作りには心得があると言う少年と姉と出会い、無一文のため江戸へ出て仕事を探すということから、自分の小屋を貸して住まわせ、菊の畑を作っていく。

            男は先祖の残した土地があるので、富を求めず、正しい行いをして貧しくあることを好み、少年は暮らしていくために菊を栽培しては売り、どんどん富んでいく。

            考えの異なる二人は仲違いするが、男は姉と結婚話も出たりと、同じ敷地内で住みながら、最後は素晴らしい菊を作る少年を認め弟子にしてくれと言う。

            怪異小説であるから、この少年の正体がユニークなのだが、これから読む方へのお楽しみとして伏せておく。

            そのミステリーさが面白いというより、ここで扱われている「清貧」に太宰治の色が練りこまれている。

            愛する花を売って米塩の資を得ることは、菊を陵辱することだと言い、己の高い趣味を金銭に換えるのを汚らわしいと訴える男に対して、天からもらった自分の実力で金を稼ぐのは富を貪る悪業ではないという少年は言う。

            「人はむやみに金を欲しがってもいけないが、けれども、やたらに貧乏を誇るのも、いやみな事です」

            好きなものでお金を稼げて暮らしていけるのは幸せなことだと思うし、それが出来るのは一握りの人間だろう。

            しかし、職業にするとなると、ほとんどの場合、純粋な自分の考え方は多少なりと曲げられていく。

            人が介在するからだ。

            生きるために、金を得るためには、それは必要であることだ。

            自分が役者の道を歩み、フリークルーズという自分の城を築いた頃は、この男に同調する部分が多々あった。

            理想よりも現実。

            今を生きる。

            このもがきはこれからも続く永遠のテーマかもしれない。

            BOBI
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            『盲人独笑』

            2018.09.06 Thursday 23:01
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              江戸時代の盲目箏曲家、葛原勾当という人物と自身が付けた四十余年間の日記を太宰治が手を入れて紹介している作品。

               

              目が見えないのにどうやって書いたかというと、平仮名いろはと、数字や句読点など100文字足らずの木製活字を用いて押し印した。

               

              全てひらがなの文章に太宰治が所々漢字を用いて読みやすくしているが、それでも何の単語か分からないことが多々あり、この言葉かなぁと任意で区切り辞書を調べてみるという繰り返しを何度と行った。

               

              それは少しクイズ感覚もあり、だんだん調べるのが楽しくなっていった。

               

              この日記を読んでいると、一日に起きたことってそんなに多くなく、一つか二つである。

               

              スラスラと文字を書けるわけではないからこそ、端的に絞れるのかもしれないが、我々でも、色々起きてても自分にとって大きな意味をもたらしたもの、と考えると、たしかに少ない、むしろ無い日だってあるかもしれない。

               

              この「勾当」、盲官(盲人の役職)の一つで、検校、別当ときて勾当、続いて座頭となるそうです。

               

               

              昔、シアターコクーンで古田新太主演の蜷川演出だったと思うんだけど『藪原検校』って芝居を観た。 権力、さらに身体の障害も使っていた悪徳な奴だった。

               

              そこへいくと座頭は『座頭市』、座頭の市は人のために刀を使い成敗していた。

               

              やはり地位が上であるものは己のことばかりか。 今度の自民党総裁選も白けた感じだ。

               

               

              話はそれたが、盲目であることは盲目でなければ分からないが、その40年の日記を孫が整理して書物にし、それを太宰治の手によって現代に広く知らしめた。

               

              文字というものは、その中に感情が見え隠れし、魂が宿っているのである、世の全ての形あるものの中で優れた生産物ではないだろうか。

               

              BOBI

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              『桜桃』

              2018.09.03 Monday 19:15
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                『人間失格』と同時期の短編小説である。

                最近読んだ短編は全て太宰治が死を選択する前の2,3年間のもので、本作品は特に寸前であるためその色が濃く現れている。

                作家自身が、この小説は夫婦喧嘩の小説である、と断言しているように、『おさん』と同様に妻と子供達のことに触れ、ダメな父親である罪悪感を吐露している。

                当時贅沢品なさくらんぼを子供たちには食べさず、まずそうに食べては種を吐き、「子供より親が大事」と虚勢の言葉を呟く、このことにどれだけ自分自身を責めているのかが伺える。

                さくらんぼが二つの実のつながりとして、家庭をイメージしたのは自分だけだろうか。

                BOBI

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                『家庭の幸福』

                2018.09.02 Sunday 16:15
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                  戦後のラジオ放送で聞こえてきた官僚のヘラヘラ笑いに憤り、そこから空想が始まる、家庭の幸福とは何かを問う物語。

                  この短編小説の中で太宰治は本名、戸籍名として津島修治を使っている。

                  そして一人の芸術家として政府や国家に向けて叫んでいる。

                  不潔なごまかしが、何よりもきらい、それが芸術家と。


                  この作品も、入水自殺が出てくる。

                  よっぽど、自身が死を考えていたのだろう、同時に幸福を考えながら。

                  BOBI
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                  『おさん』

                  2018.09.01 Saturday 13:15
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                    「おさんどん」、又は「下女」とも言う、台所での仕事やそれをする女中のことだそうです。

                    これも太宰治の死生観が彩られた作品。

                    終戦の被害を受けた中、三人の子供を養う雑誌社勤務の夫を、妻の目線で書いてある。

                    東京から逃げたいと言って信州の温泉に出かけて、諏訪湖で別の女と心中してしまう。

                    太宰治自身が心中を考え始めていた時に書いたものであろう。


                    作品に書かれてある
                    「気の持ち方を、軽くくるりと変えるのが真の革命で、それさえ出来たら、何の難しい問題もない筈です」

                    そう考えていた本人は変えられなかったのか。

                    BOBI
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                    『トカトントン』

                    2018.08.31 Friday 16:15
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                      二十六歳の青年が小説家に送った手紙、と言う形式の太宰治の短編小説。 戦争が終わり、郵便局で勤めながら、平和な日々を過ごしていると、どこからか「トカトントン」と釘打つ音が聞こえてくるという。 趣味で小説を書き始めて結末を考えたり、恋した女性と会ってキスしようとしたりと、未来のことを考えるときに鳴るのである。 夢や希望を持った時に訪れてくる現実的発想、やったことがないから一歩が踏み出せないというものを音に喩えているのではないかと思う。 「精神的な生活」 とても分かりやすい生き方の表現に自分自身へ問いかけた。 最後に書かれている。 「真の思想は、叡智より勇気を必要とするものです」 同感。 やってみなければ分からないのが人生、毎日、今だ。 短編なのに、短編だから、生きることの本質について語ってくれている。 BOBI
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