『新ハムレット』

2019.12.31 Tuesday 10:45
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    JUGEMテーマ:読書


    「こんな小説も、私は読みたい。」と書かれた『古典風』からはじまり、太宰治三十歳からの中期の作品が5編収められている。

     

    今まで読んできた太宰作品、全てを読んではいないが、とはかなり違った作風のものばかりで、興味深く読んだ。

     

    『女の決闘』『乞食学生』と3作品読んだところで『新ハムレット』のページを開いたら、「此の機会に、もういちど沙翁(シェイクスピア)の『ハムレット」を読み返し、此の『新ハムレット』と比較してみると、なお、面白い発見をするかもしれない。」と書いてあったので、ちょうど家の本棚に並んでいた文庫を取り出し読んだのが先日のことだ。

     

    面白い発見だらけだった。

     

    作者が書いてあるとおり、「過去のある時代における、一群の青年の、典型を書いた、とは言えるかも知れない。」というように、主人公ハムレット王子の心理状態が今の青年にも当てはまるような、繊細で真っ直ぐな感情と未知なる未来ゆえに感じる恐れを描いている。

     

    登場人物の結末は、本質的終焉の形はほぼ同じだが、その状況や死に方は違っている。

     

    もちろん有名なあの台詞はあります、それも、英語で。

     

    人は自分の内にある真の心と外にあるものへの協調で悩みながら行動し、一喜一憂の毎日を過ごしていくのであろう、若き時代から、世に慣れて、どこか諦めたり妥協することでの楽な自分に目をつぶる大人へと変わっていく、そんな人々は多いのではないだろうか。

     

    人生は誰のためにあるのか。

     

    自分のためだと思う。

     

    人生は楽しむためにある。

     

    だから苦しいのだ。

     

     

    最後の作品が4ページで終わる『待つ』という小さくして大きな作品です。

     

    人は何を待ち続けているのか、と考えさせられる。

     

    『新ハムレット』読了後で此の作品が続くというのは、何とも絶妙な収録の仕方である。

     

     

    欲望は単純で分かりやすいが、隣り合わせ、裏側と言おうか、にあるものは様々なものが複雑に絡み合い、怖れに包まれている。

     

    それは天から降ってくるものではなく、自分の中から生み出されるものだから、不思議な生き物だとあらためて思う。

     

    繰り返すが、だから、楽しみは自分で作るものだ。

     

    来年もいっぱい作ろう。

     

    BOBI

    category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

    『ハムレット』

    2019.12.24 Tuesday 22:16
    0
      評価:
      ウィリアム シェイクスピア
      新潮社
      ¥ 506
      (1967-09-27)

      JUGEMテーマ:読書

       

      なぜ今読むのかというと、太宰治の『新ハムレット』を読むのに、元の作品を読んでおくべきと知ったからである。

       

      家の本棚に長い間じっと収まっていたのが、今回大きく深呼吸した。

       

      内容はほとんど覚えていなかった。

       

       

      ハムレットはデンマーク王子で、王だった父が亡くなり、その弟、ハムレットの叔父が王になった。

       

      父の亡霊が現れ、弟に殺されたと知らされたハムレットが復讐に動き、悲劇が始まる。

       

       

      「生きるべきか、死ぬべきか」をはじめとして、多くの名台詞が込められていると言われているが、実際に読んでみると確かにそうである。

       

      じっくりと、スローリーディングすると、的を得た、感心させられる言葉に何度となく出会う。

       

       

      今回は太宰を読むためだが、終えた後にもう一度読んでみたくなるのだろう。

       

       

      今日はクリスマス・イブ。

       

      この作品のような悲劇が起きない楽しい家族が、窓を暖かい空気で曇らせる風景にあふれますように。

       

      BOBI

       

       

      category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

      『よけいもん』

      2019.12.03 Tuesday 00:04
      0
        評価:
        花輪 如一
        栄光出版社
        ¥ 1,430
        (2018-11-25)

        JUGEMテーマ:読書

         

        先日読んだ花輪如一氏の古代幻史小説。

         

        時は蘇我氏、物部氏から厩戸皇子の時代に、幻史というように架空の人物が活躍するお話。

         

        あまり時代小説とか読まないから、わからない言葉がいっぱい出てくるのは前にも書いたが、続けて読むと少しだが慣れてくるものだ。

         

        江戸時代とかではないから、独特ではあるが、饒速日命(にぎはやひのみこと)とか、穴穂部間人皇女(あなほべはしひとのひめみこ)とか覚えられない名前が多い。

         

        五教科の中で歴史は一番不得意だったからなあ。

         

        今思うと大事だったと痛感する。

         

        まあ、こうして今勉強できるのだから良しだ。

         

        遣隋使の小野妹子との船旅にパンダが居たりと、ユニークな部分があったりして、後半は一気に読了。

         

        調べるのは、知ることになり、楽しいものだ。

         

        BOBI

        category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

        『1R1分34秒』

        2019.11.27 Wednesday 21:13
        0

          JUGEMテーマ:読書

           

          第160回芥川賞受賞作品。

           

          前に読んだ『ニムロッド』と同じ時に受賞している。

           

          『ニムロッド』はビットコインの話で、こちらはボクシング。

           

          エンターテイメントにボクシングを扱うのは映画をはじめ多数あるが、もちろん『あしたのジョー』は最高、小説で、それも純文学でというのが珍しい。

           

          読んでみると、派手な試合のことではなく、一人のプロボクサーの心境が綴られていく。

           

          自分も役者のためにと、通ったことがある。

           

          もちろん、試合に出るわけでもなく、ジムに行ってシャドウやサンドバッグといったものだが、あの風景が蘇って、物語の中にすっと入っていけた。

           

          戦う相手を事前に研究していくうちに、頭の中で友達になってしまうというのは、興味深いが何となく理解できる。

           

          身近な存在になることで、会ったこともないのに親近感が湧くというのは、アイドルなどを追いかける人や有名人のファンに似ているのだろうか。

           

          この作品はボクシングということもあり、一人でのし上がっていくという考え方をする主人公で、自分も含め、集団活動が苦手な人には共鳴するのであろう。

           

          そして、人のありがたさも分かっている、接し方や表現が下手な上で。

           

          作家である町屋良平氏は大学を行かないで小説を書きはじめ、ボクシングも習ったという。

           

          満を持しての受賞なのであろう。

           

          BOBI

          category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

          『詐話師 平賀源内』

          2019.11.23 Saturday 15:21
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            JUGEMテーマ:読書

             

            江戸時代にいろいろな発明をしたマルチな才能の持ち主、平賀源内を主人公とした時代ミステリー小説である。

             

            「金」あるところに犯罪が生まれ、庶民が命を奪われ、裏で悪事を動かしているのは権力者というお決まりの構図だ。


             

            平賀源内の最後は牢獄の中で破傷風で亡くなったとされているが、もちろんこの小説では続きがある。

             

            歴史上の有名な人物は常にミステリーに包まれている気がするし、そのほうが興味深く、そうあって欲しいと思う。

             

             

            普段時代小説を読まないので、聞き慣れぬ言葉が多く、辞書を開いては読み進むという時間がかかった読み物となったが、大変勉強になった。

             

            BOBI

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            『ボラード病』

            2019.11.19 Tuesday 23:25
            0

              JUGEMテーマ:読書

               

              『ハリガネムシ』で興味を持ち、『クチュクチュバーン』、『臣女』と読んで本作品に辿り着いた。

               

              最初、小学5年生の女の子の回想という感じで読んでいたら、ちょっと不思議な町ということが分かってくる。

               

              「海塚」という町は、8年前に災害を受け、被災した人たちが戻ってきているという設定。

               

              幼くして、その災害の二次被害として死んでいく者が居たりするが、住民は我が町を一番だと信じる。

               

              信じようとしている。

               

              3.11が描くきっかけになったと作者は言っている。

               

              しかし、きっかけであって、ドキュメンタリーではない。

               

              人間の本質の部分に触れているのだと思う。

               

              縋る、という自分自身を失わないために植え付ける行為ではないだろうか。

               

              自分が出演した原発をテーマにした朗読舞台『臨海幻想』を思い出した。

               

              生きていることは奇跡だと、あらためて感じる。

               

              BOBI

               

               

               

              category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

              『クチュクチュバーン』

              2019.11.16 Saturday 22:03
              0

                JUGEMテーマ:読書

                 

                『ハリガネムシ』を気に入ったので、文学界の新人賞を獲った作品を読んでみた。

                 

                何というのだろう、子供の頃に考えたりする、世界がグチャグチャになる感じというのだろうか。

                 

                手が十本あったりとか、体が変化していく人間の成れの果てという世界。

                 

                起承転結でとかというお話の展開ではないが、どうなるんだろうとページをめくる。

                 

                エロさやグロさ満載で破綻した状況を描いているが、文章は見事な描写で興味を掻き立てるからだ。

                 

                小説って何でもあり、というのがよく分かる。

                 

                BOBI

                category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

                『臣女』

                2019.11.10 Sunday 21:17
                0
                  評価:
                  吉村 萬壱
                  徳間書店
                  ¥ 715
                  (2016-09-02)

                  JUGEMテーマ:読書

                   

                  芥川賞作家の吉村萬壱氏の第22回島清恋愛文学賞受賞作品。

                   

                  浮気をしたことから妻が巨大化してしまうという、現実離れしている物語の始まり。

                   

                  読んでいくと排便や汚物の描写はページをめくるのを躊躇するほどの、臭さが届いてくるようだった。

                   

                  日に日に大きくなり歪な姿になる妻を介護のように世話をしていく。

                   

                  周囲に臭いで怪しまれるが必死に妻のために動く。

                   

                  こうして男女の純愛さを描いているのだと感じてくる。

                   

                  なぜ大きくなったとかはもう関係なくなる。

                   

                  小説って何でもあり、ということが理解できると同時にカフカの「変身」を思い出した。

                   

                  BOBI

                  category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

                  『送り火』

                  2019.10.29 Tuesday 22:50
                  0
                    評価:
                    高橋 弘希
                    文藝春秋
                    ¥ 1,540
                    (2018-07-17)

                    JUGEMテーマ:読書

                     

                    第159回芥川賞受賞作品。

                     

                    青森の小さな町に父の転勤のため越してきた中学三年生が地元の同級生の中に溶け込んでいき、今までにない体験をしていくお話。

                     

                    タイトルからも、最初の数ページを読んでもラストのような展開は想像できなかった。

                     

                    言葉の表現が見事な描写で次々とページをめくっていく。

                     

                    この前の『おらおらでひとりいぐも』は岩手だったが、この作品の中でも津軽弁が出てきて、特に訳してくれるようなことはないが、それが東京から来た主人公と同じ気持ちにさせてくれる。

                     

                    残虐性は人の中に隠れているのかもしれないが、少年時代はそれを知りたくなって表に出すのだろうか。

                     

                    この主人公は一年後に埼玉に戻るであろうということで、当たり触らず周囲と関わっていくのだが、これは大人の生き方なのかもしれない。

                     

                    主人公が成績表に書かれた「公平・公正」という言葉は、そう人に映すために自分の中では不公平・不公正なのだろうか。

                     

                    BOBI

                     

                     

                    category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

                    灯火親しむべし

                    2019.10.20 Sunday 23:41
                    0

                      秋は涼しく夜長なので、灯火の下で書物を読むのに適している。

                       

                      という意味であるが、まさしくそんな気持ちになる。

                       

                      前は2.0あった視力が落ちてきて老眼にもなりだしているので少し経つと眠くなる。

                       

                      居眠りするにもちょうどいい気候である。

                       

                      『吾輩は猫である』で主人は本を読んで寝てしまうと、猫が教師という仕事は楽なものだと言っていた。

                       

                      読書で頭を使うから、眠くなるのだろう。

                       

                      一昨日も2冊買ったので、さっさと読まなければと思いながら横になってしまう。

                       

                      もう今日は遅いから寝ることにしよう。

                       

                      おやすみなさい。

                       

                      BOBI

                       

                       

                       

                      category:小説 | by:bobi kazunaricomments(0) | -

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