アメリカで初めてゴルフをしたのがもう30年以上前。
ってゴルフクラブの話ではなく、運転手の話。
先日、道を歩いていると、一軒家の玄関前から歩いてきた配達員とすれ違った。
片手に段ボール箱を持っていて、軽バンのハッチを開けた。
「△⁂£だろー、マジで!」
と独り言。
何を言ったかは聞き取れなかった。
推測するに、一回来て不在、そして再訪してまた不在の結果に腹を立てている、または時間指定なのにいない、そんなことだろうか。
車内にはぎっしりと荷物が積まれ、助手席に台車が狭苦しそうに積まれていた。
今朝は、歩いていた反対側のバス停をちらりと、なぜか見た。
3人が待っていた。
すると前方からバスがやってきた。
そのバスが私の横を通過して、後方のバス停に到着しようとしていたとき、路地を走っている女性を見つけた。
南米系の外国人のようだった。
かなり必死になって走っていた。
きっとバスに乗るのだろうと、彼女の先にはそれしか目的がないような所だったから、一目瞭然だった。
彼女のバスの車体にさしかかった
よかった、乗れて。
と思ったら、バスは走り出した。
バス停にぽつんと一人、彼女は立ち、時計を見ていた。
真っ直ぐの道なので、バスのサイドミラーから女性の走る姿は見えたはず。
わかっていて出発したのだろう。
時間に遅れるのがバスの通常だが、そこで数秒待つことくらい大したことないのではないか。
以前、バスが停まっていて、その横を後方から歩いてドア前に来たとき、ドアが開いた。
乗るのかと思って開けたのだろう。
その後ろにも前にも私しかいなかったのだから。
昔、運送屋で働いたことがあるから、時間に追われることでの焦りや苛立ちはよくわかる。
それで事故も起こしたことがある。
即興を学びはじめたとき、かれこれ30年近く前になるが、オーストラリアから来て指導してくれたリン・ピアスさんと食事したときのこと。
彼女の著作、インプロ(即興演劇)の本にサインをしてもらった。
そこで名前以外に書かれたのは、
yield
yield
yield
だった。
「ゆずる」という意味である。
そのときのレッスン中の私は、自分が、自分が、という感じでやっていた自覚があった。
即興が好きなのと、認めてもらいたいという想いもあったのだ。
そんな私を見て書いてくれた言葉だと思う。
インプロのたった一つのルール、「受け入れる」ためには、まず自分よりも相手を優先的に、相手にゆずる気持ちがなければならない。
それは簡単なことではなく、つい忘れがちになることである。
私が即興をやり続けているのは、好きだからと思っていたが、本当は必要だからということをそののち、数年経ってから気づいた。
yield
一生の課題である。