『真夏の死』

2017.12.16 Saturday 19:45
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    JUGEMテーマ:読書

    言葉が美しいと言われる三島文学だが、分からない言葉ばかりでどれだけ辞書を引いたか数え切れない。

    去年から小説を書き始めてから、語彙力と思い少しでも怪しいものは調べるので読むのに時間がかかる。

    意味が分からないのはもちろんだが、なんとなくこう読むだろうというのを100%の自信がない時に調べてみると違っていたというのが多々ある。

    国語と芸術を同時に学んでいると思うと楽しめる。


    短編集となっているのだが、三島由紀夫自信が小説家となるきっかけの『煙草』から実際に伊豆で起きた事件をモチーフにした『真夏の死』など11編収録している。

    本人が巻末の解説を書いていることで、狙いや実験など作者の意図を知ることが出来るのもいい。

    『貴顕』という作品中にあった文は興味深かったが、三島由紀夫自身の考え方なんだろうか。

    「音楽や芝居や小説などの、人を刺し、包み、押し流すような芸術」


    先日観たホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』と重なり、このタイミングも必然的なのだろう。

    BOBI
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    『手塚治虫名作集(1)ゴッドファーザーの息子』

    2017.12.15 Friday 08:10
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      JUGEMテーマ:漫画/アニメ


      先日『W3』を観て、久しぶりに手塚治虫作品に触れたくなり、タイトルが気になって読んだ。

      「ゴッドファーザー」と来たらパチーノの、デ・ニーロの、そうコッポラ作品と思い、繋がりがなくてもマフィア話だったりして、と想像を掻き立てた。

      名作集とあるようにいくつかの作品が収録されている一番目にそれはあった。

      ヤクザの大親分の息子がひ弱な手塚治虫の描く漫画を気に入ったことから二人の間に友情が芽生え、彼は特攻隊として旅立っていった、愉快で侠気もあり、少年の可愛さも備えた勇気を与えてくれる感動作品です。

      掲載されたのが昭和48年、すなわち1973年1月というのは、先の『ゴッドファーザー』が封切られた翌年なのでタイトルに使ったのではないでしょうか。

      他の作品もユーモラスであり泣けてしまったりするものなど日本の歴史的背景と共に心を動かされるものばかりです。

      なによりも偉大なる一人の漫画家を知ることでしょう。

      ノーベル漫画賞があってもいいんじゃないか。


      高田馬場の商店街には沢山の手塚チルドレンが。



      BOBI
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      『弱法師』

      2017.10.07 Saturday 23:59
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        JUGEMテーマ:読書

         

        『近代能楽集』の最後に収められているこの作品が読みたくて文庫本を買った。

         

        読みたいというより読む必要があったからである。

         

        戦火で盲目になった子供が青年になり、育ての親と生みの親が親権を争う家庭裁判所での話。

         

        この舞台に出演したんです。

         

        そう、台本です。

         

        今読むとまた理解が深く出来て、もう一度芝居をしたくなる。

         

        失って生まれた自分の世界を肯定化して生きる子供と、それに慰みを与えることで優良な人間だと思う大人。

         

         

        作品全てにおけるが、三島の言葉、複雑で詩的なセリフを使うことで、非日常の世界を信じていける。

         

        45歳で自刃してしまった彼自身が今も文字を使って現代に息吹いている。

         

        BOBI

         

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        『熊野』

        2017.10.04 Wednesday 23:27
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          JUGEMテーマ:読書

           

          欲のためには、嘘をつく。

          手に入れられないことに悲しんでいるのか、嘘をついていることを悲しんでいるのか。

          最後にどんでん返しというようなストーリー展開が実に楽しかった。

          花見に行こうとパトロンに誘われるが断る女は、嘘を見破られて解放されたことによって、蕾が開花した桜に自身がなったのだろう。


          「後悔」のことを「真黒な陰気な顔をした化物」とする表現は陶酔する。

          BOBI

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          『班女』

          2017.09.30 Saturday 19:55
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            前に形而上学的主題とこの『近代能楽集』を読み始めたときに記したと思うが、少しずつその哲学的な考えが心地よくなってきた。


            美しい芸者を好きになった一人の男と一人の女。

            芸者とまた再会を誓った男、来ない男を待ち続けるうちに狂う芸者、そんな彼女を落籍し一緒に住み始めた女。

            年月が経って狂った芸者の元に男が来るのだが…

            恋という心が、自分自身の身体から分離してしまったというのだろうか。

            いつのまにか相手ではなく恋している自分に酔うってことあるしね。

            実に興味深い。


            班女とは中国、漢の女官だそうで、帝から寵愛を失った悲しい女性のようです。

            BOBI
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            『葵上』

            2017.09.21 Thursday 22:52
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              舞台化してみたい。

               

              今まで読んだ『近代能楽集』に収められた作品は皆そう思えたが、この作品は特に感じた。

               

              病室で妻の見舞いに来る亭主と看護婦の会話から始まるが、そこから怪しげな空気感が漂う。

               

              他の作品も言葉が本当に惚れ惚れで、より舞台でその文字を立てみたい。

               

              「女は血を流し、死に、また何度も生きかえる。そこではいつも、生きる前に一度死ななければならないんです。戦う男も女も、その武器の上に黒い喪章を飾っています」

               

              「夜というのは、みんなが仲好くなる時なのよ。昼間は日向と影が戦っている。ところが夜になると、家の中の夜と、家の外の夜とは手を握っているの」

               

              他にもいっぱい好きな言葉がある。

               

              また、転換のシーンがいい。

               

              ヨットの帆を使って現在と過去を表すという、舞台上でそのセットがあったら面白い。

               

              あと、ト書きの中で「不思議な音楽」というのが、どんな曲を流せばいいのかって楽しみ。

               

              いつか…

               

               

              BOBI

               

               

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              『綾の鼓』

              2017.09.13 Wednesday 13:42
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                演能で四番目物。

                江戸初期に確立された正式な能の形式は五番立てというそうで、この四番目物とは「雑能物」とも言われ、物狂物・現在物・執念物とも分類されるそうだ。

                 

                法律事務所で働く老小使の岩吉が、向かいの建物の洋裁店に現れる美しい客に恋心を寄せる。

                何度となく恋文を事務所の女事務員をから洋裁店のマダムに渡しているが、マダムは一度もその客、華子に渡したことがない。

                洋裁店の常連客がそれを知って意地悪をする。

                肝臓の皮の代わりに綾を張った偽の、音の出ない鼓を渡して、音が出たら接吻をしてあげましょうと。

                いくら打っても音は鳴らない。

                弄ばれたと失望して、窓から飛び降りる。

                生きている時に一言も話すことがなかったのに、亡霊となって対面する。

                 

                信長で有名な「敦盛」にもあるが、生きているあいだが幻という。

                亡霊となって憧れていた華子と話すことが出来るのだか、同時に知りたくなかった彼女の本性を知ってしまう。

                 

                夢は生きているからこそ夢なのだなぁ。

                 

                BOBI

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                『邯鄲』

                2017.09.12 Tuesday 16:42
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                  JUGEMテーマ:読書

                  夢というものは時として現実を生きるために導いてくれる。

                  出世を望んで邯鄲に来た青年は、栄華が思いのままになるという枕を道士から借りて仮寝をし、栄枯盛衰の五〇年の人生を夢に見たが、覚めればほんの束の間だったという『邯鄲の枕』という中国のお話がもとになっている三島由紀夫、近代能楽集から。

                  次郎が十年ぶりに家に帰って来ると、昔世話をしてくれた菊という女性と再会する。

                  さらに昔に住んでいた、焼けてなくなった自分の部屋の折り紙細工が現れる。

                  菊の元旦那が銀座でチャップリンのサンドウィッチマンから聞いた「枕」を菊が持っているということで横になり、人生の夢を見始める。

                  今までにその枕で寝た者は起きるとすべてのものが馬鹿馬鹿しくなり、菊の前をから去って行ってしまうという。

                  サンドウィッチマンも実は菊の元亭主だった。

                  女、金、名誉、それらの夢を見て目を覚ました次郎は…

                  何かを手に入れるために生きるのではなく、今生きていくことで大切なものと出会って行くのだなぁ。

                  BOBI

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                  『卒塔婆小町』

                  2017.09.08 Friday 23:58
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                    JUGEMテーマ:読書



                    初めて形而上学的主題という言葉を見た時はなんぞやと思い、今でもあまりよく分かっていない。

                    精神や世界、霊魂などと形のない感覚的経験を超えた学問ということだそうだ。

                    それがこのお話を読んで理解し始めた。

                    三島由紀夫の戯曲『近代能楽集』に収められた一編。

                    公園の一角で老婆と詩人が織りなす問答から百年の時が遡る。

                    愛し合っている若い者たちを尊敬する詩人に対して、彼らは死んでいると言う老婆。

                    この始まりから惹きつけられた。

                    物事は捉え方、解釈の仕方で形を変えていく。

                    BOBI

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                    『役者は一日にしてならず』

                    2017.08.30 Wednesday 16:18
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                      JUGEMテーマ:読書


                      ローマは一日にして成らず。

                      どんな世界でも経験を重ねていかなければ一流になれないが、役者というものはどれだけの時間がかかるのだろうか。

                      平幹二朗、千葉真一、夏八木勲、中村敦夫、林与一、近藤正臣、松方弘樹、前田吟、平泉成、杉良太郎、蟹江敬三、綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄、と名優16人のインタビュー本である。

                      それぞれの役者になったきっかけ、芝居への想い、演技に対する考え方など、貴重かつ勉強になる内容である。

                      意外にも役者になろうとしなかった人が多いのには驚いた。

                      先日読んだ浅田次郎の『活動寫眞の女』では京都の映画世界を垣間見ることができた。

                      主人公が全盛期である映画のエキストラをやることは良いギャラをもらえるということから、食っていくためにという目的で役者をしていたのちの名優が生まれるのも時代だったのだろう。

                      映画からテレビという時代、こんな中にいたら自分は役者を目指したいだろうか、やったとしても続けただろうか、続けられただろうか。


                      この本に出てくる映画を観るのが楽しみだ。

                      唯一何度か共演し映画の話をしていただいた蟹江敬三さんの作品から観ようと思い、選んだのは『犯す!』というロマンポルノ。

                      これは監督が長谷部安春さんで、僕が蟹江さんと共演した土曜ワイドの監督である。

                      蟹江さんも長谷部さんも亡くなったので、若い頃の作品は興味がある。

                      しかし、TSUTAYAになかったので何かで探したい。


                      役者が人とすれば、皆自分の個性、生き方様々で、戻ることがない道を必死に歩いているのだろう。

                      演じながら。


                      BOBI
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